本作の主人公。
親に捨てられ、親戚をたらい回しにされた揚句、児童養護施設を転々とする生活を送ってきた過去を持つ彼は、いつしか大人や社会への怒りや、自分という存在への劣等感、絶望感によって心が歪み、気づけば誰も寄り付けない、寄せ付けない、まるで鋭利な刃物のようなワルになってしまっていた。
中学に進級するとその暴走ぶりは加速。喧嘩や窃盗、恐喝で、補導されることも日常茶飯事だった。あまりの暴れっぷりに同級生や上級生、学校にいる全ての人間の恐怖の対象となっていた。
そんな誰にも手がつけられない超問題児の彼にも、たったひとつだけ大切なものがあった。それは児童養護施設で兄弟同様に暮らしてきた血のつながりのない弟や妹たちだ。彼らといるときだけは、安らかな気持ちでいられるのだった。
中学卒業と同時に施設から独立するつもりだった彼は、高校に進学する気など毛頭なかった。しかしただ一人だけ心を開いている大人、施設長から、中卒ではなかなか職に就けない、そんな人生を歩ませたくないと涙ながらに諭され、渋々高校へと進学することになったが…進学先は地域最強最悪の不良校「九鬼島高校」だったのだ。